The Future Sound Of Londonへ進化する直前、FSOLの原型が凝縮された1990年のUKレイヴ/ハウス重要作 Mental Cubeは、後に**The Future Sound Of London(FSOL)**として世界的に知られるBrian DougansとGarry Cobainが、FSOLへ発展していく過程で使用した重要な別名義。この「Mental Cube EP」は1990年に制作された初期音源をまとめたもので、FSOL自身も「The Future Sound Of Londonになる前にFSOLとして制作した作品」と公言している。 収録されるのは「Q」「Chile Of The Bass Generation」「So This Is Love」、そして当時はIndo Tribe名義で発表された「In The Mind Of A Child」の4曲。後者も実際にはMental Cube用に制作された作品だったことが、FSOL自身によって明らかにされている。 なかでも「Q」は、このEPを代表する1曲。909によるファンキーなドラム、Speak & Spellを思わせる電子的なヴォイス、温かく大きく広がるストリングスが組み合わされ、初期UKハウスの荒々しい質感と、後のFSOLにつながる幻想的なサウンドが同居している。1990年当時からDJチャートにも登場しており、すでにフロアで支持されていたことが分かる。 「Chile Of The Bass Generation」は一転して、金属的なブレイクビーツとサンプリングを前面に押し出したレイヴ・トラック。一方「So This Is Love」はクラシックなUKハウスの骨格を持ちながら、温かなコードと浮遊感を備えた作品で、後のFSOLが向かうアンビエント/テクノ的な世界観を予感させる。 そしてB2「In The Mind Of A Child」は特に興味深い。もともとはIndo Tribe名義でリリースされたものの、実際にはMental Cube用として制作された作品で、重い909ドラムと太いベース、浮遊するメロディが印象的。単なる別名義の寄せ集めではなく、Mental Cubeというプロジェクトの音楽的な方向性を示す重要な1曲だ。 この時期の音楽を聴くうえで面白いのが、「Mental Cube → FSOL」へと進化していく過程。1990年前後のUKでは、ハウス、ブレイクビーツ、アシッド、テクノ、レイヴが急速に混ざり始めていた。DougansとCobainもその流れの中で様々な名義を使いながら実験を続け、やがて1991年の「Papua New Guinea」へと到達する。 実際、「Papua New Guinea」は当初Mental Cube名義でのリリースも検討されていた。しかし最終的には、より未来的でアンビエントな方向性を持つ作品だったことからThe Future Sound Of London名義で発表することになったとGarry Cobainが後に説明している。 つまりこの12インチは、単なる90年代レイヴの再発ではない。「Papua New Guinea」へ向かう直前のFSOLが、まだハウス/ブレイクビーツ/レイヴの現場に深く足を置いていた時期の記録として非常に面白い。 「Q」のユーフォリックなコード、「Chile Of The Bass Generation」のブレイクビーツ、「So This Is Love」のクラシック・ハウス、そして「In The Mind Of A Child」の重低音。4曲それぞれに方向性は違うが、共通しているのは機械的なリズムと幻想的な音響を同居させる感覚。後のFSOLを知っている人ほど、その原型を発見する楽しさがある1枚だ。 A1. Q A2. Chile Of The Bass GenerationB1. So This Is LoveB2. In The Mind Of A Child First released 30 years ago, 1990 - Written and produced by FSOL before they became The Future Sound of London. This EP brings together the original recordings of the 3 main tracks released by Mental Cube, while the forth was released under a different name, it was intended to be a Mental Cube track.