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“Maison Margiela” 2023AW Side open decortiqué knit vest
JPY 39,800.00
MOOD
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1988年の創設以来、衣服の構造そのものへ問いを投げかけながら、匿名性と再解釈を通して新たなエレガンスを提示してきたMaison Margielaより、境界を解体する逸品をご紹介致します。 ジェンダーや既存の着用ルールを静かに横断する設計美が宿るこちらの逸品。まず印象的なのは深く設定されたVネックで、顔まわりに明確な抜けを生みながら、首元にはあえて未完成さを
残したような断ち切りの表情が加えられている為、端正なニットベストという古典的な形式に、Margielaらしい違和感と余白が丁寧に差し込まれていますね。 ネックまわりのリブはしっかりとした厚みを持ちながらも、縁は整い過ぎない揺らぎを伴っており、そのラフさが単なるダメージ表現ではなく、完成された服の表面を一枚剥がすようなデコルティケの思想へ繋がっています。均質で綺麗なだけのニットではなく、整っているものを少しだけずらすことで新しい均衡を作る、その感覚が非常に現代的と言えます。 身頃は装飾を抑えたプレーンな編み地で構成されている為、遠目には静かなミニマリズムを感じさせつつ、近くで見ると糸のふくらみや表面のわずかな起毛感が柔らかく立ち上がり、無機質になり過ぎない温度を持っています。素材にはウールを軸に、リネンとコットンを混紡していることで、保温性だけに寄らない軽やかさとドライなタッチが共存しており、ニット特有の重さを抑えながら季節の端境期にも落とし込みやすい質感へ整えられている点も、この個体の大きな魅力ですね。 さらに特筆すべきは両脇の構造で、身頃を完全に閉じてしまわず、サイドを開放した上で小さなボタンで留める仕様にすることで、服としての輪郭に空間が生まれています。このディテールによって、シャツやカットソー、軽いジャケットの上へ重ねた際にも内側のレイヤーが自然に覗き、着る人の動きとともに見え方が変化する為、単体で完結するベストではなく、重ねることで完成へ向かうピースとして成立しています。前から見た時の端正さに対して、横から見た時に抜けと余白が現れる構成は非常に美しく、抑制と実験性のバランスが実にMargielaらしいですね。 背面にはブランドを象徴する4本の白いステッチがさりげなく置かれており、ロゴを声高に主張せずとも出自が伝わる静かなサインとして機能しています。加えてカレンダータグでは4と14の両方が囲まれている特殊仕様で、女性のためのワードローブと男性のためのワードローブ、その二つを横断する設計思想が明快に示されている点も見逃せません。性別で服の意味を固定せず、着方によって輪郭を変えていくという現在のMaison Margielaの姿勢が、タグの読み解きからも裏付けられていると言えます。 年代については2023年製と見て差し支えなく、その信ぴょう性を支えているのがケアタグに記載された 03.2023 の製造表記です。加えて Maison Margiela 表記の現行ロゴ、多言語かつ高精細な長いケアタグ、そしてガリアーノ体制下で強く打ち出されているデコルティケ的な処理と、4と14を同時に囲んだジェンダーレスなタグ運用が揃っている為、本品を2023AW頃の現行ピースとして捉える判断には十分な根拠がありますね。 この一着は、ラグジュアリーを分かりやすい華やかさで語るのではなく、構造の違和感や着用時の余白によって知性として表現したい方へ特におすすめです。日常の装いに自然に取り入れながらも、見る人にどこか印象を残す力があり、ベーシックな服を着ていてもどこか均一に見せたくない、そんな感覚をお持ちの方には非常に相性が良いと思います。MOODとしても、こうした一見静かでありながら着ることで輪郭が立ち上がる服こそ、日々の装いを少し深くしてくれる存在だと考えています。 スタイリングとしては、端正なシャツや柔らかなカットソーの上へ重ね、スラックスや落ち感のあるボトムスと合わせることで、このアイテムが持つ構造美を素直に引き出しながら、静かで洗練された空気感にまとめていただくのがおすすめです。また、ロング丈のシャツワンピースやミニマルなジャケットの上へ重ねる着方も美しく、サイドオープンの仕様によって生まれる抜けがレイヤードに自然な立体感を与えてくれる為、ブランドの背景を想起させる実験性を保ちながら、過度に気負わない日常着として成立させることが出来ますね。 是非この機会に。