ファリの人々はカメルーン北部とチャドに居住するキルディに属する少数民族です。キルディという名称はイスラム教徒と対比して「異教徒」を蔑称的に指す「kurds」という語が現地で変形したものといわれています。一方「ファリ」はフルフルデ語で「高台に建つ」を意味し、山腹に築かれたファリの集落の景観に由来しています。一部のファリの人々はナイジェリア北東部にも居住しそこでは「Bana」と呼ばれています。そんなファリの女性だけが持つ丸っこくてかわいらしい「fertility doll」(受胎人形)と呼ばれるお人形です。この種のお人形は村の女性の安産や受胎を目的として「魔法の練習」と組み合わせて使用されるといわれています。婚約をしたファリの男性が金属、木、革等を素材としてこのようなお人形を作ります。まずは、頭、腕、脚となる小さな金属製のフレームを組み立てることから始めます。それから、胴を形作るために木を用意して、包むか縛るようにして皮を纏わせます。そして、お人形を婚約者に渡して女性の背中のベビーキャリアに装着するのだそうです。このお人形は結婚の約束の象徴であり、将来の子供を表しているといわれています。女性は子どもが生まれるまでこのお人形を気遣い夫婦で慎重に育てて保管します。ちなみに、ファリの葬送儀礼はフランス民族考古学の先駆者とされるジャン=ポール・ルブーフ氏(Jean-Paul Lebeuf, 1907-1994)により詳細に記録されています。 「包み込みは常に布から始まる。布の層と柔軟性を高めるため事前に湿らせた山羊の皮または牛革の帯を交互に重ねていく。... 包み込みは頭部から開始され、両腕と両脚は水平に伸ばされ、革の帯と強く締められた布の紐で固定される。手足は露出したまま残される。... 遺体は通常、家族の若い男性2人によって運ばれる。1人が脇の下を支え、もう1人が足首を支え、遺体は腕を水平に伸ばした座った姿勢を保つ。... 遺体は(墓の)底に安置され、ほとんどの場合直接地面の上に置かれる。」(Les rites funéraires chez les Fali. In: Journal de la Société des Africanistes, 1938, tome 8, fascicule 2. pp. 103-122 / 葬儀ついての説明と最後の画像はジャン=ポール・ルブーフ氏の論文より引用したものです。)ファリの人々の死生観をそのまま形にしたようなお人形です。糸がぐるぐると巻きつけられていて、小人のようにも虫のようにも見えてくる奇妙でかわいらしい姿です。ファリに生まれる「未来の子ども」を表現しているお人形さんです。●原産国カメルーン Cameroon ●人々ファリ Fali●本体のおおよそのサイズh19.0 cm × 11.5 cm × 10.0cm●スタンドの有無無 ●重さ480g●素材糸、金属、その他●推定年代-●来歴EX. in situ.EX. gallery collection(fr)●商品数1点【重要】*こちらのお品にはスタンドは付属しません。*経年使用に伴うダメージ、糸のほつれ、汚れ、欠損、色落ち等がございます。